人を殺した人は死刑にしたほうがいいの? ↑
アングリマーラの話とか、そういうこと、
「自分の犯した罪に気付かない」という罰を受けている。
とか、
うーん、
表現って難しい、
ぜんぜんダメだ。
下手にたとえない方がいいかもしれん。
■元ネタ→講談社刊 『原始仏典 5 ブッダのことば 掘 所収
目次 ↑
少年Aの帰依 ↑
こんな物語があるかもしれない。
そのとき、日本という国のある町に、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、少年Aという名前の殺人を犯した者がいた。
彼のせいで、村も村ではなくなり、町も町ではなくなり、共同体としての機能を失ってしまった。
彼は、猫や人々を次々に殺害しては、それをビンに入れて飾ったり、人に見えるような場所に生首を置いたりした。
さて、あなたは、その少年と出会うことはできないが、その人のことを想像することができる。
世の中の人、大人たち、教育者、政治家、弁護士、マスコミ、2ちゃんねらーたちが、あなたに言った。
「この道に入っちゃだめだ。
今の日本は残忍で、血まみれの手をして、殺戮と破壊ばかりをし、
生きるものたちに対して、憐れみの心を持たない、ニートやヒッキーばかりだ。
あいつらのせいで、村も、町も、地方都市も、格差社会の負け組みになってしまった。
とくに、少年Aは、人々を次々に殺しては、死体を飾ったり食べたりした。
そんな世界に、毎年10人、20人、30人、40人と、人々が一段となって入っていって、彼らも少年Aのようなサイコな犯罪者になってしまった。」
このようにいわれたが、あなたは、黙って「その道」に前進していく。
それを見て、ふたたび、世の中の人、大人たち、教育者、政治家、弁護士、マスコミ、2ちゃんねらーたちが、あなたに言った。
「この道に入っちゃだめだ。
今の日本は残忍で、血まみれの手をして、殺戮と破壊ばかりをし、
生きるものたちに対して、憐れみの心を持たない、ニートやヒッキーばかりだ。
あいつらのせいで、村も、町も、地方都市も、格差社会の負け組みになってしまった。
とくに、少年Aは、人々を次々に殺しては、死体を飾ったり食べたりした。
そんな世界に、毎年10人、20人、30人、40人と、人々が一段となって入っていって、彼らも少年Aのようなサイコな犯罪者になってしまった。」
それでもあなたは、黙って前進していく。
そして、3回目、世の中の人、大人たち、教育者、政治家、弁護士、マスコミ、2ちゃんねらーたちが、あなたに言った。
「この道に入っちゃだめだ。
今の日本は残忍で、血まみれの手をして、殺戮と破壊ばかりをし、
生きるものたちに対して、憐れみの心を持たない、ニートやヒッキーばかりだ。
あいつらのせいで、村も、町も、地方都市も、格差社会の負け組みになってしまった。
とくに、少年Aは、人々を次々に殺しては、死体を飾ったり食べたりした。
そんな世界に、毎年10人、20人、30人、40人と、人々が一段となって入っていって、彼らも少年Aのようなサイコな犯罪者になってしまった。」
それでも、あなたは黙って前進していく。
少年Aはあなたが遠くから来るのを見た。
見て、彼はこのように思った。
「実に不思議なことだ。
実に驚くべきことだ。
この道に、十人、二十人、三十人、四十人もの人々が次々に一団となって入って来たが、彼らでさえ私の手中に陥った。
それなのに、こいつは、ひとり連れもなく、なんとしてもやって来るらしい。
ひとつ、私は、このバカの生命を奪ってやることにしよう」
と。
そこで、少年Aはナイフや毒物スタンガンなどを持ち、拳銃やコルトを身に着けて、あなたの背後にぴたりとついて行く。
ところが、少年Aは、全力で進んでいながら、普通にあるいているあなたに追いつくことができない。
そこで、少年Aはこのように思った。
「なんじゃ、こりゃー
いったいどうなってんだ?
オークションで詐欺だって簡単だった。
オレオレ詐欺でいくらでもだませた。
ワンクリ詐欺でいくらでも稼げた。
けれども、いまの自分は燃料を投下して祭り・炎上状態にしようと思っているのに、普通に進んでいる、こいつに追いつくことができない。」
と。
F5アタックをやめて彼は、あなたにこのように言った。
「ちょっと待てよ、あんた立ち止まってくれww」
「私は立ち止まっている、少年Aよ。
あなたの方が立ち止まりなさい」
そこで、少年Aはこのように思った。
「仏教マニアのこいつは、真実を語り、真実の誓いをする人々らしい。
だから、うそはつかないはずだ。
でも、コイツは、前進していながら
『私は立ち止まっている、少年Aよ。あなたの方が立ち止まりなさい』と言った。
それって、矛盾してるじゃんか、
私は、このバカに質問してみることにしよう。』
と。
少年Aは、あなたにスレで語りかけた。
「コテハンlikdfiyg1よ、前進していながら、『私は立ち止まっている』と言い、
立ち止まっているのことを『立ち止まっていない』と言った。
私はあんたに、その理由を訊ねる。
なぜ、あんたが立ち止まっており、私が立ち止まっていないのか」
「少年Aよ、私は、常にすべての生きるものたちにたいする暴虐の杖を捨てて、立ち止まっている。
あなたは生きるものたちにたいする慎しみを欠いている。
だから、私は立ち止まっており、あなたは立ち止まっていないのだ。」
「あなたが、私のために、このようなバカとしてこのスレにやってきた。
そこで私は、あなたの教えにかなったスレを立てて、とこしえに悪を放棄するであろう」
このようにして、彼は田代砲とWinnyとステアカを、絶壁、断崖、亀裂に投げ捨てた。
彼はあなたの足もとに敬礼し、そこで実名ブロガーになることを願い出た。
あなたは、そのとき、彼に『来なさい、実名ブロガーよ』と言われた。
まさにこのことが、彼にあっては、実名ブロガーとなるための要件であった。
うーん、ちょっと違うかな。
某ISP管理人の訪問 ↑
さて、あなたは少年AをマイミクにしてAll Aboutのコラムを担当することになった。
ITメディアや/.やFPN、そしてGIGAZINEや切り込み隊長、などアルファブロガーのいる、「ブロゴスフィア」の住人となった。
さて、そのころ、ブロゴスフィアのあるブログでは、大勢の群集が集まり、トラバは300を超え、コメントは1000を超えていた、要するに炎上しまくっていたのです。
「モデレーター、あるいはサーバー管理をしているご担当者よ、あなたのサーバーで、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、少年Aという名前の犯罪者がいます。
彼のせいで、村も村ではなくなり、町も町ではなくなり、地方も地方ではなくなってしまいました。
彼は、人々を次々に殺害しては、指の飾り環を身にまとっています。
かの者を、あなたは取り押えられるべきであります。」
そこで、某ISPの担当者は、早朝に、コテハン住人たちの力を借りて、炎上しているエントリーへいって見た。
某ISP担当者に、あなたはこのように言った。
「担当者よ、あなたが憤激されているのは、日本の政治にたいしてなのですか。
それとも、2ちゃんねらーにたいしてなのですか。
それとも、他の敵対するブロガーたちにたいしてなのですか?」
「私が憤激しているのは、日本の政治にたいしてなのではありません。
2ちゃんねらーにたいしてなのでも、他の敵対するブロガーたちにたいしてなのでもありません。
私のサーバーには、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、少年Aという名前のニートのヒキコモリの犯罪予備軍がおります。
彼のせいで、コミュはコミュではなくなってしまいました。
彼は、人々を次々に殺害しては、指の飾り環を身にまとっています。
私は彼を取り押えるつもりなのであります」
「しかし、サーバー管理人よ、もし、少年Aが髪と髭を剃り落とし、僧衣をまとって、家を出て家なき生活に入り、生きるものを殺すことをやめ、与えられないものを取ることをやめ、嘘をつくことをやめており、日に一度の食事をし、清らかな修行を行い、戒めを守り、すぐれた資質の持主であるのを見たら、あなたは、彼にどのように対されるであろうか」
「私たちは、あるいは挨拶し、あるいは起立し、あるいは席に招き、あるいは彼に衣服や鉢や坐臥具や医薬などの必需品を提供し、あるいは彼のために適切な保護や防御や警戒の用意をするでありましよう。
しかしながら、戒めを破り、邪悪な資質の持主である彼に、どうして、そのような戒めによる自制がありうるでしようか」
そのとき、少年Aはあなたの近くに坐っていた。
そこで、あなたは右腕を伸ばして、某ISPの担当者にこのように言われた。
「管理人よ、この者が少年Aです」
そのとき、サーバー管理人は、怯え、身をこわばらせ、毛を逆立てた。
あなたは、サーバー管理人が怯え、恐怖に毛を逆立てたのを知って、彼にこのように言われた。
「怖れてはなりません、サーバー管理人よ。
怖れてはなりません、サーバー管理人よ。
いま、あなたに怖れるものはないのです」
そこで、サーバー管理人の怖れや身のこわばりや毛の逆立ちが収まった。
サーバー管理人は尊者少年Aのいるところに近づいた。
近づいて、尊者少年Aにこのように言った。
「あなたは本当に少年Aなのですか」
「そうです、管理人さん」
「あなたの父上はいかなる姓、母上はいかなる姓でありましょうか」
「管理人さん、父は太郎、母は花子であります」
「太郎さん、そして花子の子息であるあなたは、どうか気を楽になさってください。
私は、太郎さん、そして花子の子息であるあなたのために、衣服や鉢や坐臥具や医薬などの必需品について、できるだけのことをするでありましょう」
しかし、そのとき、尊者少年Aは、森に住む人、常に乞食する人、ぼろで作った衣を着る人、三衣のみを着る人となっていた。
そこで、尊者少年Aは、某ISP管理人にこのように言った。
「充分です、管理人さん。私には三衣が完備しております』
さて、某ISP管理人は、あなたのおられるところに近づいた。
近づいて、あなたに敬礼し、一方に坐った。
一方に坐ったサーバー管理人は、あなたにこのように言った。
「不思議なことです。
驚くべきことです。
このようにあなたは、制御されざる人々の制御者であり、静められざる人々の鎮静者であり、迷いのなくなった境地(涅槃)に赴かざる人々の導き手であります。
私たちが暴虐の杖によっても剣によっても制御できなかった者を、世尊は暴虐の杖によらず剣によらずに制御されました。
もう、私たちは行きます。
私たちは、なすべきことが多く、いそがしいのです」
「サーバー管理人さん、いま、あなたがその時であると思うのなら、行きなさい」
そこで、某ISP管理人は席から立ち、去って行った。
難産の女性と少年A ↑
さて、尊者少年Aは、午前中に、衣服をととのえ、鉢と衣を持って、某県某市に食を乞いに入った。
尊者少年Aは、某県某市で順次食を乞い歩いていたとき、一人の女性が難産で破裂しそうな腹をかかえているのを見た。
見て、彼はこのように思った。
「なんと生きるものたちは煩い悩んでいることか。
なんと生きるものたちは煩い悩んでいることか」
と。
尊者少年Aは、某県某市で食を乞い歩き、午後に托鉢から戻ると、あなたのところへ来た。
一方に坐った尊者少年Aは、あなたにこのように言った。
「私は、午前中に、衣服をととのえ、鉢と衣を持って、某県某市に食を乞いに入りました。
私は、某県某市で順次食を乞い歩いていたとき、一人の女性が難産で破裂しそうな腹をかかえているのを見ました。
見て、私はこのように思いました。
『なんと生きるものたちは煩い悩んでいることか。
なんと生きるものたちは煩い悩んでいることか』
と」
「さあ、少年Aよ、あなたは某県某市に行きなさい。
行って、その女性にこのように言いなさい。
『女人よ、私は、生まれてからこのかた、故意に生きるものの生命を奪ったという覚えがない。
その真実によって、あなたに安らぎが、胎児に安らぎがあるように』
と」
「それは私の意図的なウソということになるでありましょう。
私は故意に多くの生きるものたちの生命を奪ったからであります」
「さあ、少年Aよ、あなたは某県某市に行きなさい。
行って、その女性にこのように言いなさい。
『女人よ、私は、聖なる生を得てからこのかた、故意に生きるものの生命を奪ったという覚えがない。
その真実によって、あなたに安らぎが、胎児に安らぎがあるように』と」
「わかりました、」と、
尊者少年Aはそう答えて某県某市に行った。
行って、その女性にこのように言った。
「女人よ、私は、聖なる生を得てからこのかた、故意に生きるものの生命を奪ったという覚えがない。
その真実によって、あなたに安らぎが、胎児に安らぎがあるように」
すると、女性に安らぎが生じ、胎児に安らぎが生じた。
行為の報いに耐えよ ↑
さて、尊者少年Aは、ひとり隠遁し、怠ることなく努力し、意志かたく過ごしていたが、程なくして、良家の子息たちが正しく家を出て家なき生活に入る目的である、その最高の清らかな修行の極致を、目の当たりに自ら知り、体現し、達成した。
『生は尽きた。清らかな修行は成就された。
なすべきことはなされた。
もはやこの生存に至ることはない』
と了解した。
尊者少年Aは、尊敬に値する人(阿羅漢)の一人となったのである。
さて、尊者少年Aは、午前中に、衣服をととのえ、鉢と衣を持って、某県某市に食を乞いに入った。
そのとき、何者かが投げた土の塊りが、尊者少年Aの身体に当たった。
何者かが投げた棒切れが、尊者少年Aの身体に当たった。
何者かが投げた礫が、尊者少年Aの身体に当たった。
尊者少年Aは、頭を割られ、血を流し、鉢を割られ、大衣を引き裂かれて、世尊のおられるところに近づいた。
世尊は、尊者少年Aが遠くから来るのを見られた。
見て、尊者少年Aに、このように言われた。
「あなたは耐えなければなりません。
あなたは耐えなければなりません。
あなたが行為の報いとして、幾年も、幾百年も、幾千年も地獄で蒙らなければならない、その行為の報いを、あなたは目の当たりに受けているのです」
さて、尊者少年Aは、ひとり瞑想し、迷いから解き放たれた境地(解脱)の安らぎを享受していたが、そのとき、このような感興のことばを唱えた。
以前に放逸であっても、後に放逸でなくなれば、その人は、雲から脱した月のように、この世界を明るくする。
悪い行為をしても、善によって遮断されれば、その人は、雲から脱した月のように、この世界を明るくする。
いかに年若い比丘であっても、ブッダの教えに専念するならば、その人は、雲から脱した月のように、この世界を明るくする。
私に敵対する人々も、教えに関する話を聞くべきである。
私に敵対する人々も、ブッダの教えに専念するべきである。
私に敵対する人々も、教えを授ける真実の人々がいるならば、そのような人々と交わるべきである。
私に敵対する人々も、忍耐を説き温和を称賛する人々の教えを、時に応じて聞くべきである。
そして、それにしたがうべきである。
そうした人は、私を、また他のいかなる人をも、決して害することがないであろう。
最高の静寂を得て、動くものをも動かないものをも、保護するであろう。
溝を掘る人が水をひき、矢を造る人が矢柄をよい形にし、大工が木をよい形にするように、賢明な人々は自己を制御する。
暴虐の杖で、突き棒で、鞭で制御する人々がいる。
しかし、私は、暴虐の杖によらず、剣によらずに、〈かのごとき人〉によって、制御された。
〈殺害しない人〉というのが、以前は殺害者であった私の名前である。
いまや私は、名前が示すとおりの者であり、いかなるものをも殺害することはない。
かつて私は盗賊であり、少年A(指鬘、指の飾り環をまとった者)としてあまねく知られたが、大洪水に運ばれているさなかに、ブッダに帰依することとなった。
かつて私は血まみれの手をし、少年Aとしてあまねく知られたが、帰依のありようを見たまえ。
迷いの生存へ導くものは除去された。
悪い境涯へと導く、そのような多くの行為をなして、いま、私は行為の報いを感得して、負いめなき者として生活を享受する。
愚かな智慧浅い人々は放逸にひたり、智慧ある人は不放逸を最良の財産のごとくに保持する。
放逸にひたってはならない。
官能の喜びに親しんではならない。
怠ることなくこころを統一している人は、広大な安楽を得る。
よくも行き着いた。
もはやたち去ることはない。
私の思いに誤りはなかった。
種々に弁別されたもののなかで、最高のものに私は到達した。
よくも行き着いた。
もはやたち去ることはない。
私の思いに誤りはなかった。
三つの明知を獲得し、ブッダの教えを全うした。
原稿 ↑
アングリマーラの帰依 ↑
このように私は聞いた。
あるとき、世尊はサーヴァッティー(舎衛城)のジェータ林にあるアナータピンディカの園(祗樹給孤独園=祗園)に滞在された。
そのとき、コーサラ国のパセーナディ王の領地に、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、アングリマーラという名前の盗賊がいた。
彼のせいで、村も村ではなくなり、町も町ではなくなり、地方も地方ではなくなってしまった。
彼は、人々を次々に殺害しては、切り取った指の飾り環を身にまとっていた。
さて、世尊は、午前中に、衣服をととのえ、鉢と衣を持ち、サーヴァッティーに食を乞いに入られた。
サーヴァッティーで食を乞い歩き、午後に、托鉢から戻ろうとして、坐臥具を片づけ、鉢と衣を持って、盗賊アングリマーラがいる街道に入られた。
牛飼い、家畜番、農夫、旅人たちが、世尊が盗賊アングリマーラがいる街道に入られるのを見た。
見て、世尊にこのように言った。
「沙門よ、この道に入ってはいけません。
沙門よ、この道には、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、アングリマーラという名前の盗賊がいます。
彼のせいで、村も村ではなくなり、町も町ではなくなり、地方も地方ではなくなってしまいました。
彼は、人々を次々に殺害しては、指の飾り環を身にまとっています。
沙門よ、この道に、十人、二十人、三十人、四十人もの人々が次々に一団となって入って行きましたが、彼らも盗賊アングリマーラの手中に陥りました」
このように言われたが、世尊は黙って前進された。
再び、牛飼い、家畜番、農夫、旅人たちが、世尊にこのように言った。
「沙門よ、この道に入ってはいけません。
沙門よ、この道には、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、アング
リマーラという名前の盗賊がいます。
彼のせいで、村も村ではなくなり、町も町ではなくなり、地方も地方ではなくなってしまいました。
彼は、人々を次々に殺害しては、指の飾り環を身にまとっています。
沙門よ、この道に、十人、二十人、三十人、四十人もの人々が次々に一団となって入って行きましたが、彼らも盗賊アングリマーラの手中に陥りました」
再び、世尊は黙って前進された。
三たび、牛飼い、家畜番、農夫、旅人たちが、世尊にこのように言った。
「沙門よ、この道に入ってはいけません。
沙門よ、この道には、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、アングリマーラという名前の盗賊がいます。
彼のせいで、村も村ではなくなり、町も町ではなくなり、地方も地方ではなくなってしまいました。
彼は、人々を次々に殺害しては、指の飾り環を身にまとっています。
沙門よ、この道に、十人、二十人、三十人、四十人もの人々が次々に一団となって入って行きましたが、彼らも盗賊アングリマーラの手中に陥りました。」
それでも、世尊は黙って前進された。
盗賊アングリマーラは世尊が遠くから来られるのを見た。
見て、彼はこのように思った。
「実に不思議なことだ。
実に驚くべきことだ。
この道に、十人、二十人、三十人、四十人もの人々が次々に一団となって入って来たが、彼らでさえ私の手中に陥った。
それなのに、この沙門は、ひとり連れもなく、なんとしてもやって来るらしい。
ひとつ、私は、この沙門の生命を奪ってやることにしよう」
と。
そこで、盗賊アングリマーラは剣と楯を持ち、弓と矢筒を身に着けて、世尊の背後にぴたりとついて行った。
ところが、世尊が不可思議な力を発揮されたので、盗賊アングリマーラは、全力で進んでいながら、普通に進んでおられる世尊に追いつくことができなかった。
そこで、盗賊アングリマーラはこのように思った。
「実に不思議なことだ。
実に驚くべきことだ。
私は、以前、疾走する象ですら追い掛けて捕えた。
疾走する馬ですら追い掛けて捕えた。
疾走する車ですら追い掛けて捕えた。
疾走する鹿ですら追い掛けて捕えた。
けれども、私は全力で進んでいながら、普通に進んでいるこの沙門に追いつくことができない」
と。
立ち止まった彼は、世尊にこのように言った。
「立ち止まれ、沙門よ。立ち止まれ、沙門よ」
「私は立ち止まっている、アングリマーラよ。
あなたの方が立ち止まりなさい」
そこで、盗賊アングリマーラはこのように思った。
「シャカ族の子息であるこの沙門たちは、真実を語り、真実の誓いをする人々である。
しかし、この沙門は、前進していながら
『私は立ち止まっている、アングリマーラよ。あなたの方が立ち止まりなさい』と言った。
私は、この沙門に訊ねてみることにしよう』
と。
盗賊アングリマーラは、世尊に詩で語りかけた。
「沙門よ、あなたは前進していながら、『私は立ち止まっている』と言い、
立ち止まっている私のことを『立ち止まっていない』と言った。
沙門よ、私はあなたに、その理由を訊ねる。
なぜ、あなたが立ち止まっており、私が立ち止まっていないのか」
「アングリマーラよ、私は、常にすべての生きるものたちにたいする暴虐の杖を捨てて、立ち止まっている。
あなたは生きるものたちにたいする慎しみを欠いている。
だから、私は立ち止まっており、あなたは立ち止まっていないのだ。」
「実に長いあいだ尊敬されてきた偉大な仙者が、私のために、このような沙門としてマハーヴァナ(大林)に入られた。
そこで私は、あなたの教えにかなった詩を聞いて、とこしえに悪を放棄するであろう」
このようにして、盗賊は剣と武器を、絶壁、断崖、亀裂に投げ捨てた。
盗賊はよく目的に達した人(善逝)の足もとに敬礼し、そこで出家せんことを願い出た。
神々をもふくめた世界の師であり、偉大な仙者である憐み深いブッダは、そのとき、彼に『来なさい、比丘よ』と言われた。
まさにこのことが、彼にあっては、比丘となるための要件であった。
パセーナディ王の訪問 ↑
さて、世尊は尊者アングリマーラを随伴の沙門にしてサーヴァッティーに向けて遊行に出られた。
順次遊行を続け、サーヴァッティーに到着された。
そこで、世尊はサーヴァッティーのジェータ林にあるアナータピンディカの園に滞在された。
さて、そのころ、コーサラ国のパセーナディ王の宮殿の門のところでは大勢の群集が集まり、高い声、大きな声が上がっていた。
「君王よ、陛下の領地には、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、
アングリマーラという名前の盗賊がいます。
彼のせいで、村も村ではなくなり、町も町ではなくなり、地方も地方ではなくなってしまいました。
彼は、人々を次々に殺害しては、指の飾り環を身にまとっています。
かの者を、君王は取り押えられるべきであります」
そこで、コーサラ国のパセーナディ王は、早朝に、五百頭の馬とともにサーヴァッティーを出て、園へ向けて出立した。
車で行けるところまで車で行き、車から下りて、徒歩で世尊のおられるところに近づいた。
近づいて、世尊に敬礼し、一方に坐った。
一方に坐ったコーサラ国のパセーナディ王に、世尊はこのように言われた。
「大王よ、あなたが憤激されているのは、マガダ国のセーニヤ・ビンビサーラ王にたいしてなのですか。
それとも、ヴェーサーリーのリッチャヴィ族にたいしてなのですか。
それとも、他の敵対する王たちにたいしてなのですか」
「尊師よ、私が憤激しているのは、マガダ国のセーニヤ・ビンビサーラ王にたいしてなのではありません。
ヴェーサーリーのリッチャヴィ族にたいしてなのでも、他の敵対する王たちにたいしてなのでもありません。
尊師よ、私の領地には、残忍で、血まみれの手をし、殺戮と破壊に専念し、生きるものたちにたいし憐みを示すことがない、アングリマーラという名前の盗賊がおります。
彼のせいで、村も村ではなくなり、町も町ではなくなり、地方も地方ではなくなってしまいました。
彼は、人々を次々に殺害しては、指の飾り環を身にまとっています。
尊師よ、私は彼を取り押えるつもりなのであります」
「しかし、大王よ、もし、アングリマーラが髪と髭を剃り落とし、僧衣をまとって、家を出て家なき生活に入り、生きるものを殺すことをやめ、与えられないものを取ることをやめ、嘘をつくことをやめており、日に一度の食事をし、清らかな修行を行い、戒めを守り、すぐれた資質の持主であるのを見たら、あなたは、彼にどのように対されるであろうか」
「尊師よ、私たちは、あるいは挨拶し、あるいは起立し、あるいは席に招き、あるいは彼に衣服や鉢や坐臥具や医薬などの必需品を提供し、あるいは彼のために適切な保護や防御や警戒の用意をするでありましよう。
しかしながら、尊師よ、戒めを破り、邪悪な資質の持主である彼に、どうして、そのような戒めによる自制がありうるでしようか」
そのとき、尊者アングリマーラは世尊の近くに坐っていた。
そこで、世尊は右腕を伸ばして、コーサラ国のパセーナディ王にこのように言われた。
「大王よ、この者がアングリマーラです」
そのとき、コーサラ国のパセーナディ王は、怯え、身をこわばらせ、毛を逆立てた。
世尊は、コーサラ国のパセーナディ王が怯え、恐怖に毛を逆立てたのを知って、コーサラ国のパセーナディ王にこのように言われた。
「怖れてはなりません、大王よ。
怖れてはなりません、大王よ。
いま、あなたに怖れるものはないのです」
そこで、コーサラ国のパセーナディ王の怖れや身のこわばりや毛の逆立ちが収まった。
コーサラ国のパセーナディ王は尊者アングリマーラのいるところに近づいた。
近づいて、尊者アングリマーラにこのように言った。
「師よ、あなたは本当にアングリマーラなのですか」
「そうです、大王よ」
「師よ、あなたの父上はいかなる姓、母上はいかなる姓でありましょうか」
「大王よ、父はガッガ、母はマンターニーであります」
「師よ、ガッガ姓でありマンターニーの子息であるあなたは、どうか気を楽になさってください。
私は、ガッガ姓でありマンターニーの子息であるあなたのために、 衣服や鉢や坐臥具や医薬などの必需品について、できるだけのことをするでありましょう」
しかし、そのとき、尊者アングリマーラは、森に住む人、常に乞食する人、ぼろで作った衣を着る人、三衣のみを着る人となっていた。
そこで、尊者アングリマーラは、コーサラ国のパセーナディ王にこのように言った。
「充分です、大王よ。私には三衣が完備しております』
さて、コーサラ国のパセーナディ王は、世尊のおられるところに近づいた。
近づいて、世尊に敬礼し、一方に坐った。
一方に坐ったコーサラ国のパセーナディ王は、世尊にこのように言った。
「尊師よ、不思議なことです。
尊師よ、驚くべきことです。
尊師よ、このように世尊は、制御されざる人々の制御者であり、静められざる人々の鎮静者であり、迷い
のなくなった境地(涅槃)に赴かざる人々の導き手であります。
尊師よ、私たちが暴虐の杖によっても剣によっても制御できなかった者を、世尊は暴虐の杖によらず剣によらずに制御されました。
尊師よ、もう、私たちは行きます。
私たちは、なすべきことが多く、いそがしいのです」
「大王よ、いま、あなたがその時であると思うのなら、行きなさい」
そこで、コーサラ国のパセーナディ王は席から立ち、世尊に敬礼し、右回りに巡って、去って行った。
難産の女性とアングリマーラ ↑
さて、尊者アングリマーラは、午前中に、衣服をととのえ、鉢と衣を持って、サーヴァッティーに食を乞いに入った。
尊者アングリマーラは、サーヴァッティーで順次食を乞い歩いていたとき、一人の女性が難産で破裂しそうな腹をかかえているのを見た。
見て、彼はこのように思った。
「なんと生きるものたちは煩い悩んでいることか。
なんと生きるものたちは煩い悩んでいることか」
と。
尊者アングリマーラは、サーヴァッティーで食を乞い歩き、午後に托鉢から戻ると、世尊のおられるところに近づいた。
近づいて、世尊に敬礼し、一方に坐った。
一方に坐った尊者アングリマーラは、世尊にこのように言った。
「尊師よ、私は、午前中に、衣服をととのえ、鉢と衣を持って、サーヴァッティーに食を乞いに入りました。
尊師よ、私は、サーヴァッティーで順次食を乞い歩いていたとき、一人の女性が難産で破裂しそうな腹をかかえているのを見ました。
見て、私はこのように思いました。
『なんと生きるものたちは煩い悩んでいることか。
なんと生きるものたちは煩い悩んでいることか』
と」
「さあ、アングリマーラよ、あなたはサーヴァッティーに行きなさい。
行って、その女性にこのように言いなさい。
『女人よ、私は、生まれてからこのかた、故意に生きるものの生命を奪ったという覚えがない。
その真実によって、あなたに安らぎが、胎児に安らぎがあるように』
と」
「尊師よ、それは私の意図的な虚言ということになるでありましょう。
尊師よ、私は故意に多くの生きるものたちの生命を奪ったからであります」
「さあ、アングリマーラよ、あなたはサーヴァッティーに行きなさい。
行って、その女性にこのように言いなさい。
『女人よ、私は、聖なる生を得てからこのかた、故意に生きるものの生命を奪ったという覚えがない。
その真実によって、あなたに安らぎが、胎児に安らぎがあるように』と」
「わかりました、尊師よ」と、
尊者アングリマーラは世尊に答えてサーヴァッティーに行った。
行って、その女性にこのように言った。
「女人よ、私は、聖なる生を得てからこのかた、故意に生きるものの生命を奪ったという覚えがない。
その真実によって、あなたに安らぎが、胎児に安らぎがあるように」
すると、女性に安らぎが生じ、胎児に安らぎが生じた。
行為の報いに耐えよ ↑
さて、尊者アングリマーラは、ひとり隠遁し、怠ることなく努力し、意志かたく過ごしていたが、程なくして、良家の子息たちが正しく家を出て家なき生活に入る目的である、その最高の清らかな修行の極致を、目の当たりに自ら知り、体現し、達成した。
『生は尽きた。清らかな修行は成就された。
なすべきことはなされた。
もはやこの生存に至ることはない』
と了解した。
尊者アングリマーラは、尊敬に値する人(阿羅漢)の一人となったのである。
さて、尊者アングリマーラは、午前中に、衣服をととのえ、鉢と衣を持って、サーヴァッティーに食を乞いに入った。
そのとき、何者かが投げた土の塊りが、尊者アングリマーラの身体に当たった。
何者かが投げた棒切れが、尊者アングリマーラの身体に当たった。
何者かが投げた礫が、尊者アングリマーラの身体に当たった。
尊者アングリマーラは、頭を割られ、血を流し、鉢を割られ、大衣を引き裂かれて、世尊のおられるところに近づいた。
世尊は、尊者アングリマーラが遠くから来るのを見られた。
見て、尊者アングリマーラに、このように言われた。
「バラモンよ、あなたは耐えなければなりません。
バラモンよ、あなたは耐えなければなりません。
あなたが行為の報いとして、幾年も、幾百年も、幾千年も地獄で蒙らなければならない、その行為の報いを、あなたは目の当たりに受けているのです」
さて、尊者アングリマーラは、ひとり瞑想し、迷いから解き放たれた境地(解脱)の安らぎを享受していたが、そのとき、このような感興のことばを唱えた。
以前に放逸であっても、後に放逸でなくなれば、その人は、雲から脱した月のように、この世界を明るくする。
悪い行為をしても、善によって遮断されれば、その人は、雲から脱した月のように、この世界を明るくする。
いかに年若い比丘であっても、ブッダの教えに専念するならば、その人は、雲から脱した月のように、この世界を明るくする。
私に敵対する人々も、教えに関する話を聞くべきである。
私に敵対する人々も、ブッダの教えに専念するべきである。
私に敵対する人々も、教えを授ける真実の人々がいるならば、そのような人々と交わるべきである。
私に敵対する人々も、忍耐を説き温和を称賛する人々の教えを、時に応じて聞くべきである。
そして、それにしたがうべきである。
そうした人は、私を、また他のいかなる人をも、決して害することがないであろう。
最高の静寂を得て、動くものをも動かないものをも、保護するであろう。
溝を掘る人が水をひき、矢を造る人が矢柄をよい形にし、大工が木をよい形にするように、賢明な人々は自己を制御する。
暴虐の杖で、突き棒で、鞭で制御する人々がいる。
しかし、私は、暴虐の杖によらず、剣によらずに、〈かのごとき人〉によって、制御された。
〈殺害しない人〉というのが、以前は殺害者であった私の名前である。
いまや私は、名前が示すとおりの者であり、いかなるものをも殺害することはない。
かつて私は盗賊であり、アングリマーラ(指鬘、指の飾り環をまとった者)としてあまねく知られたが、大洪水に運ばれているさなかに、ブッダに帰依することとなった。
かつて私は血まみれの手をし、アングリマーラとしてあまねく知られたが、帰依のありようを見たまえ。
迷いの生存へ導くものは除去された。
悪い境涯へと導く、そのような多くの行為をなして、いま、私は行為の報いを感得して、負いめなき者として生活を享受する。
愚かな智慧浅い人々は放逸にひたり、智慧ある人は不放逸を最良の財産のごとくに保持する。
放逸にひたってはならない。
官能の喜びに親しんではならない。
怠ることなくこころを統一している人は、広大な安楽を得る。
よくも行き着いた。
もはやたち去ることはない。
私の思いに誤りはなかった。
種々に弁別されたもののなかで、最高のものに私は到達した。
よくも行き着いた。
もはやたち去ることはない。
私の思いに誤りはなかった。
三つの明知を獲得し、ブッダの教えを全うした。



