本末軽重を知らず、おろかなり、と云べし。
物事の優先順位がわかっていないのは、愚かなことだといえます。
学問は本なり、芸能は末なり。
学問は本質的な幹、根っこであり、芸能は枝葉になります。
本はおもくして、末はかろし。
幹根っこは重要にして、枝葉は、軽いです。
本末を同じくすべからず。
本末を同じに考えたり扱ってはいけません。
後世の人、此理を知らず、かなしむべし。
今の時代の人々は、このルールを知らないです、悲しいことです。
殊に大人は、身をおさめ、人をおさむる稽古だにあらば、芸能は其下たる有司にゆだねても、事かけず。
とくに、大人であるなら、自分をマネジメントし、人をマネジメントする稽古をするのであれば、芸能後とは、部下にまかせても、問題ないです。
されど六芸は、大人といへど、其大略をば学ぶべし。
しかし、六芸は、大人と言えど、その大まかなところは学んだほうがいいです。
又、軍学・武芸のみありて、学間なく、義理をしらざれば、習ふ所の武事、かへりて不忠不義の助となる。
また、軍学・武芸のみあって、学間なく、義理を知らなければ、習うところの武事はかえって、不忠不義を増長するものとなります。
然れば、義理の学問を本とし、おもんずべし。
そういうわけですから、義理についての学問を幹、根っことして、重要に取り組むようにしましょう。
芸術はまことに末なり。
芸術は、まことに枝葉のものです。
六芸のうち、物かき、算数を知る事は、殊に貴賤・四民ともに、習はしむべし。
六芸のうち、文章を書くこと、算数を知ることは、特に貴賎に係らず、全ての人々が習うべきことです。
物よくいひ、世になれたる人も、物をかく事、達者ならず。
いろいろと弁がたって、世の中に慣れている人でも、物を書くことは苦手です。
文字をしらざれば、かたこといひ、ふつづかにいやしくて、人に見おとされ、あなどりわらはるるは口をし。
文章を書く能力がなければ、中途半端なことを言っているとか、品がなくてみっともないとか、人にバカにされて、侮られて、笑われるので、そりゃ悔しいものです。
